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養子縁組 認知症縁組意思

判例No. 1030

名古屋家庭裁判所 平成20年(家ホ)第366号 養子縁組無効確認請求事件

事件番号 名古屋家庭裁判所判決/平成20年(家ホ)第366号
判決日付 平成21年11月20日
判示事項

亡甲の兄である原告が、被告と甲との間の養子縁組の無効確認を求めた事案において、甲には前頭側頭葉型認知症が疑われ、躁状態による脱抑制、人格変化が認められる問題行動も起こしていたのであるから、原告に対する一時の反発感情から、養子縁組の効果についてよく理解せず、本件養子縁組をしたと推認し、養子縁組の無効を確認した事例。


遺言 自筆証書遺言遺言能力認知症

判例No. 1029

東京高等裁判所 平成19年(ネ)第5482号 遺言無効確認請求、共同訴訟的当事者参加控訴事件

事件番号 東京高等裁判所判決/平成19年(ネ)第5482号
判決日付 平成21年8月6日
判示事項

遺言作成当時87歳の高齢者の自筆証書遺言につき、本件遺言当時、遺言者には見当識障害、記憶障害等の症状があり、アルツハイマー病と脳梗塞の合併した混合型痴呆症によりやや重い痴呆状態にあったものと認められ、遺言能力に欠けていたとして、原告らの請求を認め、自筆証書遺言が無効であると判断した事例。


遺言 遺言能力認知症公正証書遺言遺言の方式

判例No. 1028

大阪高等裁判所 平成21年(ネ)第400号 遺言無効確認請求控訴事件

事件番号 大阪高等裁判所判決/平成21年(ネ)第400号
判決日付 平成21年6月9日
判示事項

公正証書遺言において遺言者が自己の氏名を正確に記載しなかったとしても、遺言書作成に至る経緯、遺言者の判断能力、専門家の立ち合いなどの事情を考慮して、遺言者が自己の氏名として署名したと認められるときは、民法969条4号の定める遺言者の署名の要件を満たしているとされた事例。


相続一般 保険

判例No. 1027

最高裁判所第3小法廷 平成21年(受)第226号 死亡給付金等請求、民訴法260条2項の申立て事件

事件番号 最高裁判所第3小法廷判決/平成21年(受)第226号
判決日付 平成21年6月2日
判示事項

保険金の指定受取人が死亡した場合に、保険契約者が新たな受取人を指定しないまま死亡した場合、当初の受取人の相続人が保険金の受取人となる旨定める旧商法676条2項は、生命保険の指定受取人とその推定相続人が同時に死亡した場合にも類推適用されるか。



判決要旨

旧商法676条2項は本件の場合にも類推適用されるところ、「保険金額ヲ受取ルヘキ者ノ相続人」とは、指定受取人の法定相続人又はその順次の法定相続人であって被保険者の死亡時に現に生存する者をいい、保険の指定受取人とその相続人となるべき者とが同時に死亡した場合には、当該相続人は旧商法676条2項の「保険金額ヲ受取ルヘキ者ノ相続人」には該当せず、その順次の相続人は保険金の受取人にはならない。

養子縁組 当事者適格縁組意思

判例No. 1026

大阪高等裁判所 平成20年(ネ)第2947号 養子縁組無効確認請求事件

事件番号 大阪高等裁判所判決/平成20年(ネ)第2947号
判決日付 平成21年5月15日
判示事項

相続財産法人である被控訴人は、本件養子縁組が無効であるか否かによって相続に関する地位に直接影響を受ける者として、本件養子縁組の無効確認を求める法律上の利益を有するというべきであり、原告適格を欠くとはいえないとした事例。


民法802条1号にいう「縁組をする意思」とは、真に社会通念上親子であると認められる関係の設定を欲する意思をいうものと解すべきであり、したがって、たとえ縁組の届出自体について当事者間に意思の合致があり、ひいては、当事者間に、一応法律上の親子という身分関係を設定する意思があったといえる場合であっても、それが、単に他の目的を達するための便法として用いられたもので、真に親子関係の設定を欲する意思に基づくものでなかった場合には、縁組は、当事者の縁組意思を欠くものとして、その効力を生じないものと解すべきであるとした上で、親子関係は必ずしも共同生活を前提とするものではないから、養子縁組が、主として相続や扶養といった財産的な関係を築くことを目的とするものであっても、直ちに縁組意思に欠けるということはできないが、当事者間に財産的な関係以外に親子としての人間関係を築く意思が全くなく、純粋に財産的な法律関係を作出することのみを目的とする場合には、縁組意思があるということはできないとした事例。