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遺留分 相続債務遺言の解釈

判例No. 1025

最高裁判所第3小法廷 平成19年(受)第1548号 持分権移転登記手続請求事件

事件番号最高裁判所第3小法廷判決/平成19年(受)第1548号
判決日付平成21年3月24日
判示事項

遺留分の侵害額の算定について、相続人のうちの1人に対して財産全部を相続させる旨の遺言がされた場合に、遺留分権利者の法定相続分に応じた相続債務の額を遺留分の額に加算することができるか。


判決要旨

相続人のうちの1人に対して財産全部を相続させる旨の遺言がされた場合、遺言の趣旨等から相続債務については当該相続人にすべてを相続させる意思のないことが明らかであるなどの特段の事情のない限り、当該相続人に相続債務もすべて相続させる旨の意思が表示されたものと解すべきである。そして、当該相続人が相続債務もすべて承継したと解される場合、遺留分の侵害額の算定においては、遺留分権利者の法定相続分に応じた相続債務の額を遺留分の額に加算することは許されないものと解するのが相当である。

遺産分割 持ち戻し免除同族会社特別受益

判例No. 1024

東京家庭裁判所 平成17年(家)第4989号、平成20年(家)第299号、平成20年(家)第300号 遺産分割申立事件、寄与分を定める処分申立事件

事件番号東京家庭裁判所審判/平成17年(家)第4989号、平成20年(家)第299号、平成20年(家)第300号
判決日付平成21年1月30日
判示事項

遺産総額(約2億6,700万円)及び被相続人の収入状況からすると、被相続人から相続人に対する継続的な送金のうち、一月に10万円を超える送金は生計資本としての贈与であると認められるが、これに満たないその余の送金は親族間の扶養的金銭援助にとどまり生計資本としての贈与とは認められないとされた事例。


被相続人が、相続人の子を3歳から高校卒業までの間の養育し、その費用を負担したことは、相続人自身に対する生計資本としての贈与とは直ちにいえないし、相続人の生計維持に貢献した分があったとしても、孫の養育費用について相続人の特別受益として考慮する意思は被相続人になかったと推認されるので、黙示的な特別受益の持戻し免除の意思表示があったものというべきとされた事例。


被相続人が経営する会社から支払われた給与について、仮に相続人に稼働実態がなかったとしても、会社からの贈与であって被相続人からの贈与とはいえないとされた事例。


相続一般 共同相続人預貯金契約

判例No. 1023

最高裁判所第1小法廷 平成19年(受)第1919号 預金取引記録開示請求事件

事件番号最高裁判所第1小法廷判決/平成19年(受)第1919号
判決日付平成21年1月22日
判示事項

金融機関は預金者に対して預金口座の取引経過開示義務を負うか。


共同相続人の一人が被相続人名義の預金口座の取引経過開示請求権を単独で行使することができるか。


判決要旨

金融機関は、預金契約に基づき、預金者の求めに応じて預金口座の取引経過を開示すべき義務を負う。


共同相続人の一人は、預金債権の一部を相続により取得するにとどまるが、これとは別に、共同相続人全員に帰属する預金契約上の地位に基づき、他の共同相続人全員の同意がなくても、被相続人名義の預金口座についてその取引経過の開示を求める権利を単独で行使することができる。

遺言

判例No. 1022

東京高等裁判所 平成20年(ラ)第1677号 遺言確認申立却下審判に対する抗告事件

事件番号東京高等裁判所決定/平成20年(ラ)第1677号
判決日付平成20年12月26日
判示事項

家庭裁判所が、危急時遺言が遺言者の真意に出たものであることの確認手続において得るべき心証の程度について、危急時遺言が遺言者の真意に出たものであるとの心証を得なければこれを確認することはできないが、この確認には既判力がなく、他方でこの確認を経なければ遺言は効力を生じないことに確定するから、真意に出たものであるとの心証は、確信の程度に及ぶ必要はないものと判示した事例。


相続一般 自社株権利行使者の指定

判例No. 1021

大阪高等裁判所 平成20年(ネ)第1758号、平成20年(ネ)第1961号 総会決議存否確認請求控訴事件、同附帯控訴事件

事件番号大阪高等裁判所判決/平成20年(ネ)第1758号、平成20年(ネ)第1961号
判決日付平成20年11月28日
判示事項

相続発生により発生した株式の準共有状態は、遺産分割が終了するまでの暫定的な状態であるにすぎないので、会社法106条に基づく共有株式の権利行使者の指定は、共同相続人間で事前に議案内容の重要度に応じしかるべき協議をすることが必要である。それにもかかわらず、共同相続人間で真摯に協議する意思を持つことなく、単に形式的に協議をしているかのような体裁を整えただけで、実質的には全く協議をしていないまま、いわば問答無用的に権利行使者を指定したと認められるような場合は、権利の濫用であって、許されないとした事例。