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遺言 認知症公正証書遺言遺言の方式

判例No. 1020

東京地方裁判所 平成19年(ワ)第15630号 遺言無効確認請求事件

事件番号 東京地方裁判所判決/平成19年(ワ)第15630号
判決日付 平成20年11月13日
判示事項

遺言者が公正証書によって遺言をするに当たり、公証人の質問に対し、言語をもって陳述することなく、単に肯定又は否定の挙動を示したにすぎないときは、民法969条2号にいう口授があったものとはいえないと解するのが相当であるとした上、遺言書作成の際に、遺言者が公証人と手を握り、公証人による遺言公正証書の案文の読み聞かせに対し手を握り返したにすぎず、言語をもって陳述していないときは、民法969条2号の口授があったものとは認められないとした事例。


養子縁組 縁組意思当事者適格

判例No. 1019

大阪家庭裁判所 平成19年(家ホ)第348号

事件番号 大阪家庭裁判所判決/平成19年(家ホ)第348号
判決日付 平成20年10月28日
判示事項

亡甲の亡夫とその前妻との間の子らの申立により選任された相続財産管理人が原告となって、亡甲と被告との間の養子縁組の無効確認を求めた事案について、原告に当事者適格がないとの被告の本案前の主張は理由がないとし、本件養子縁組は、養親の縁組意思及び届出意思を欠いており無効と認め、原告の請求を認容した事例。


相続一般 特別縁故者

判例No. 1018

大阪高等裁判所 平成20年(ラ)第973号 特別縁故者に対する相続財産分与審判に対する抗告事件

事件番号 大阪高等裁判所決定/平成20年(ラ)第973号
判決日付 平成20年10月24日
判示事項

被相続人の父の妹の孫である申立人とその配偶者が、被相続人の老人ホーム入所時の身元保証人や成年後見人となったほか、遠距離にもかかわらず多数回にわたり老人ホームや入院先を訪れて、親身になって被相続人の療養看護や財産管理に尽くした上、相当額の費用を負担して被相続人の葬儀の主宰や供養を行っている事情の下においては、被相続人の通常の親族としての交際ないし成年後見人の一般的職務の程度を超える親しい関係にあり、被相続人からも信頼を寄せられていたものと評価することができ、民法958条の3の特別縁故者に該当するものと認められる。


遺留分 価額弁償遺留分減殺請求

判例No. 1017

最高裁判所第1小法廷 平成18年(受)第1572号 遺留分減殺、建物明渡等請求事件

事件番号 最高裁判所第1小法廷判決/平成18年(受)第1572号
判決日付 平成20年1月24日
判示事項

受遺者から民法1041条1項規定の価額弁償の意思表示を受けた遺留分権利者が受遺者に対し価額弁償を請求する旨の意思表示をした場合、当該遺留分権利者が価額弁償請求権を確定的に取得する時期はいつか。

判決要旨

遺留分権利者が受遺者に対して価額弁償を請求する権利を行使する旨の意思表示をした場合には、その時点において、当該遺留分権利者は、遺留分減殺によって取得した目的物の所有権及び所有権に基づく現物返還請求権をさかのぼって失い、これに代わる価額弁償請求権を確定的に取得すると解するのが相当である。


遺産分割 寄与分介護農地

判例No. 1016

大阪高等裁判所 平成18年(ラ)第1052号 遺産分割及び寄与分を定める処分審判に対する抗告事件

事件番号 大阪高等裁判所決定/平成18年(ラ)第1052号
判決日付 平成19年12月6日
判示事項

被相続人の療養看護、農業への従事、不動産の補修等への費用支出について、遺産の維持形成への寄与を認めつつ、寄与相続人も被相続人と長年同居してきたことにより相応の利益を受けてきた側面もあること、農業への従事は専業として貢献した場合と同視することのできる寄与とまでは評価できないこと、建物の補修費関係の出費は寄与相続人自身の利益にもなっており支出額に即して評価すべきでないこと等から、寄与分を遺産総額の30%と定めた原審判を変更し、遺産総額の15%と定めた事例。