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遺産分割 代償分割

判例No. 1070

大阪高等裁判所 平成28年(ラ)56号 遺産分割審判及び寄与分を定める処分申立却下審判に対する抗告事件

事件番号大阪高等裁判所決定/平成28年(ラ)第56号
判決日付平成28年9月27日
判示事項遺産の中の一部の土地について、相続人の一人に取得させた上で代償金の支払を命じるなどした原審判の一部を変更し、同土地の共有取得を命じた事例。

本決定は、抗告人が全ての土地を取得して代償金を支払う方法による遺産分割では相手方の取得希望が一切叶えられないこと、抗告人の資力からみて代償金不払の危険が大きいこと、当該土地には抗告人が代表者を務める会社の使用する建物が存在すること、抗告人及び相手方の双方が当該土地の換価分割に反対していること等の事情から、相手方が当該土地の共有取得に反対しているとしても、双方の希望と公平な分割を実現するためには、当該土地を共有取得とすることもやむを得ないと判示した。
遺産分割 遺産分割協議の無効錯誤

判例No. 1069

東京地方裁判所 平成26年(ワ)20311号 遺産分割協議不存在確認等請求事件

事件番号東京地方裁判所判決/平成26年(ワ)20311号
判決日付平成28年9月8日
判示事項相続人の一人が他の相続人に対し遺産分割協議の不存在を主張し、予備的に同協議の錯誤無効を主張した事案である。原告は、遺産分割協議の不存在ないし錯誤無効の理由として、
(1)遺産分割協議書の内容の協議が行われたことはないこと、
(2)署名押印が必要な金融機関への提出書面と共に遺産分割協議書を渡され、気が付かないうちに遺産分割協議書に署名押印をしてしまったことを主張した。

これに対し、本判決は、原告の供述は、自ら署名・押印を行ったか否か等の重要な点で変遷しており信用できないと述べた上、原告が他の相続人と同様、遺産分割協議書に自ら署名・押印した事実が認められる以上、遺産分割協議書は真正に成立したものと推定され、これを覆すに足る証拠がないとして、遺産分割協議の成立を認めた。

また、原告が、遺産分割協議書の作成に先立って行われた協議に毎回同席し、その経緯を見ていたこと、協議段階において暫定的な分割案を示した書面を受け取っていたこと等を認定し、原告が遺産分割協議書の内容を理解した上で同協議書に署名押印したことが推認できるとして、原告の錯誤無効の主張も認めなかった。
遺産分割 遺産分割協議の無効

判例No. 1068

東京高等裁判所 平成27年(ネ)第5825号 遺産分割金支払請求控訴事件

事件番号東京高等裁判所/平成27年(ネ)第5825号
判決日付平成28年5月17日
判示事項控訴人が、被相続人の遺産を管理する被控訴人に対して、遺産分割協議の内容にしたがって金銭を支払うことを請求したのに対し、被控訴人から、遺産分割協議における控訴人の寄与分についての説明(不動産の評価額、寄与分の算定方法等)に誤りがあったとして、遺産分割協議の錯誤無効を主張して金銭の支払いを拒否した事案において、第一審は、被控訴人の主張を認め、遺産分割協議が錯誤によって無効であるとして控訴人の請求を棄却した。

これに対して控訴人が控訴したところ、本判決は、寄与分の有無及び程度が当事者によって自由に処分することのできる性質の事柄であることを前提として、本件遺産分割協議の場において控訴人が最終的に提案した寄与分の金額が当事者の主張として十分あり得るものであること、また、不動産の価額の資料や、控訴人の主張する寄与分の前提事実の資料について、もしこれを精査する必要があるなら、資料の提出と再度の協議を要求すればよいことであり、それが到底できなかった事情は見当たらないことから、本件遺産分割協議に錯誤あったとは認められないとして、控訴人の請求を認めた。

上記のような判断にあたって、本判決は、本件遺産分割協議において不動産を控訴人の所有とすることには共同相続人間で異存はなく、また、控訴人が遺産分割協議の場で説明した不動産の金額と実際の不動産の金額の乖離の程度等からすると、不動産の価額がいくらであるかは、遺産全体の価額における寄与分の価額の割合としては大きな影響を与えるものとはいえないなどとした。
相続一般 遺産の範囲預貯金契約

判例No. 1067

最高裁判所第1小法廷 平成28年(受)第579号 預金返還等請求事件

事件番号最高裁判所第1小法廷判決/平成28年(受)第579号
判決日付平成29年4月6日
判示事項共同相続された定期預金債権及び定期積金債権は、いずれも、相続開始と同時に当然に相続分に応じて分割されることはない。
判決要旨定期預金は、預入れ1口ごとに1個の預金契約が成立し、預金者は解約をしない限り払い戻しをすることができないのであり、契約上その分割払い戻しは制限されている。そして、この制限は、一定期間内には払い戻しをしないという条件とともに定期預金の利率が高いことの前提となっており、単なる特約ではなく定期預金債権の要素というべきである。そして、この理は、定期積金についても異ならない。したがって、共同相続された定期預金債権及び定期積金債権は、いずれも、相続開始と同時に相続分に応じて分割されることはない。
養子縁組 縁組意思相続税節税

判例No. 1066

最高裁判所第3小法廷 平成28年(受)第1255号 養子縁組無効確認請求事件

事件番号最高裁判所第3小法廷判決/平成28年(受)第1255号
判決日付平成29年1月31日
判示事項

専ら相続税の節税のためになされた養子縁組の効力。

判決要旨

相続税の節税の動機と縁組をする意思とが併存し得るものであることを理由に、専ら相続税の節税のために養子縁組をする場合であっても、直ちに当該養子縁組について民法802条1号にいう「当事者間に縁組をする意思がないとき」に当たるとすることはできない。