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養子縁組 認知症意思能力

判例No. 1040

長野家庭裁判所諏訪支部 平成23年(家ホ)第1号 養子縁組無効確認請求事件

事件番号 長野家庭裁判所諏訪支部判決/平成23年(家ホ)第1号
判決日付 平成24年5月31日
判示事項

養子縁組をなすにあたって求められる意思能力ないし精神機能の程度は、格別高度な内容である必要はなく、親子という親族関係を人為的に設定することの意義を常識的に理解しうる程度であれば足りると解されるところ、養親の認知症は、診断当初は、軽度のものであったところ、その後本件縁組までの間、どの程度進行したかに関する情報が少なく、本件縁組直前の主治医の意見では、同時期の介護認定のための調査結果よりも軽度の評価に留まること、本件縁組及び本件各贈与に関わった司法書士も養親について本件各不動産の被告への名義変更に関してよく理解していたと述べていること、本件縁組届の記載から特段不自然な点はうかがわれないことに鑑みれば、本件縁組当時、養親に養子縁組をなす意思能力がなかったとまでは認めることはできず、認知症の老人のした養子縁組届につき、意思能力又は縁組意思がなかったとまでは認められないとして、養子縁組無効確認請求を棄却した事例。

遺留分 持ち戻し免除相続分の指定特別受益

判例No. 1039

最高裁判所第1小法廷 平成23年(許)第25号 遺産分割審判に対する抗告審の変更決定に対する許可抗告事件

事件番号 最高裁判所第1小法廷決定/平成23年(許)第25号
判決日付 平成24年1月26日
判示事項

遺言による相続分の指定が遺留分減殺請求により減殺された場合、各相続人の相続分はどのように修正されるか。


特別受益に当たる贈与について持戻し免除の意思表示がなされている場合に、遺留分減殺請求がなされたことによる相続分の算定方法。


判決要旨

相続分の指定が、特定の財産を処分する行為ではなく、相続人の法定相続分を変更する性質の行為であること、及び、遺留分制度が被相続人の財産処分の自由を制限し、相続人に被相続人の財産の一定割合の取得を保障することをその趣旨とするものであることに鑑みれば、遺留分減殺請求により相続分の指定が減殺された場合には、遺留分割合を超える相続分を指定された相続人の指定相続分が、その遺留分割合を超える部分の割合に応じて修正されると解するのが相当である。


被相続人が、特別受益に当たる贈与につき、当該贈与に係る財産の価額を相続財産に算入することを要しない旨の意思表示をしていた場合であっても、上記価額は遺留分算定の基礎となる財産額に算入されるものと解される。そこで、被相続人の当該意思表示が遺留分減殺請求により減殺された場合、当該贈与に係る財産の価額は、上記意思表示が遺留分を侵害する限度で、遺留分権利者である相続人の相続分に加算され、当該贈与を受けた相続人の相続分から控除される。

遺言 遺言の解釈推定相続人代襲相続

判例No. 1038

最高裁判所第3小法廷 平成21年(受)第1260号 土地建物共有持分権確認請求事件

事件番号 最高裁判所第3小法廷判決/平成21年(受)第1260号
判決日付 平成23年2月22日
判示事項

ある推定相続人に遺産を「相続させる」旨の遺言について、当該推定相続人が遺言者の死亡以前に死亡した場合における当該遺言の効力。


判決要旨

「相続させる」旨の遺言をした遺言者は、通常、遺言時における特定の推定相続人に当該遺産を取得させる意思を有するにとどまるものと解される。したがって、「相続させる」旨の遺言は、当該遺言により遺産を相続させるものとされた推定相続人が遺言者の死亡以前に死亡した場合には、当該「相続させる」旨の遺言に係る条項と遺言書の他の記載との関係、遺言書作成当時の事情および遺言者の置かれていた状況などから、遺言者が、上記の場合には、当該推定相続人の代襲者その他の者に遺産を相続させる旨の意思を有していたとみるべき特段の事情のない限り、その効力を生ずることはない。


遺産分割 共同相続人遺産の範囲預貯金契約

判例No. 1037

最高裁判所第2小法廷 平成21年(受)第565号 遺産確認請求事件

事件番号 最高裁判所第2小法廷判決/平成21年(受)第565号
判決日付 平成22年10月8日
判示事項

定額郵便貯金債権が遺産に属することの確認を求める訴えに、確認の利益が認められるか。


判決要旨

郵便貯金法は定額郵便貯金債権の分割を許容するものではなく、同債権は、その預金者が死亡したからといって、相続開始と同時に当然に相続分に応じて分割されることはないものというべきである。そうであれば、同債権の最終的な帰属は、遺産分割の手続において決せられるべきことになるのであるから、遺産分割の前提問題として、民事訴訟の手続において、同債権が遺産に属するか否かを決する必要性も認められるというべきである。
そうすると、共同相続人間において、定額郵便貯金債権が現に被相続人の遺産に属することの確認を求める訴えについては、その帰属に争いがある限り、確認の利益があるというべきである。


遺産分割 扶養義務寄与分介護

判例No. 1036

東京高等裁判所 平成21年(ラ)第878号 遺産分割審判等に対する抗告事件

事件番号 東京高等裁判所決定/平成21年(ラ)第878号
判決日付 平成22年9月13日
判示事項

相続人の妻による被相続人の介護が、本来であればヘルパー等を雇って行われるのが相当である状況で行われたこと、その他の介護も約13年余りの長期にわたって行われたことから、当該妻による介護は、同居の親族の扶養義務の範囲を超え、相続人の履行補助者として相続財産の維持に貢献した側面があると評価することが相当であるとして、200万円の寄与分が認められた事例。


相続人が、約15年間、自己の給与をいったん家計に入れて被相続人にその管理を任せることによって、被相続人の相続財産の維持及び増加に寄与したものということができるとして、200万円の寄与分が認められた事例。