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遺産分割

遺産分割一覧

遺産分割 介護農地寄与分

判例No. 1016

大阪高等裁判所 平成18年(ラ)第1052号 遺産分割及び寄与分を定める処分審判に対する抗告事件

事件番号大阪高等裁判所決定/平成18年(ラ)第1052号
判決日付平成19年12月6日
判示事項

被相続人の療養看護、農業への従事、不動産の補修等への費用支出について、遺産の維持形成への寄与を認めつつ、寄与相続人も被相続人と長年同居してきたことにより相応の利益を受けてきた側面もあること、農業への従事は専業として貢献した場合と同視することのできる寄与とまでは評価できないこと、建物の補修費関係の出費は寄与相続人自身の利益にもなっており支出額に即して評価すべきでないこと等から、寄与分を遺産総額の30%と定めた原審判を変更し、遺産総額の15%と定めた事例。

遺産分割 遺産分割協議の無効

判例No. 1068

東京高等裁判所 平成27年(ネ)第5825号 遺産分割金支払請求控訴事件

事件番号東京高等裁判所/平成27年(ネ)第5825号
判決日付平成28年5月17日
判示事項控訴人が、被相続人の遺産を管理する被控訴人に対して、遺産分割協議の内容にしたがって金銭を支払うことを請求したのに対し、被控訴人から、遺産分割協議における控訴人の寄与分についての説明(不動産の評価額、寄与分の算定方法等)に誤りがあったとして、遺産分割協議の錯誤無効を主張して金銭の支払いを拒否した事案において、第一審は、被控訴人の主張を認め、遺産分割協議が錯誤によって無効であるとして控訴人の請求を棄却した。

これに対して控訴人が控訴したところ、本判決は、寄与分の有無及び程度が当事者によって自由に処分することのできる性質の事柄であることを前提として、本件遺産分割協議の場において控訴人が最終的に提案した寄与分の金額が当事者の主張として十分あり得るものであること、また、不動産の価額の資料や、控訴人の主張する寄与分の前提事実の資料について、もしこれを精査する必要があるなら、資料の提出と再度の協議を要求すればよいことであり、それが到底できなかった事情は見当たらないことから、本件遺産分割協議に錯誤あったとは認められないとして、控訴人の請求を認めた。

上記のような判断にあたって、本判決は、本件遺産分割協議において不動産を控訴人の所有とすることには共同相続人間で異存はなく、また、控訴人が遺産分割協議の場で説明した不動産の金額と実際の不動産の金額の乖離の程度等からすると、不動産の価額がいくらであるかは、遺産全体の価額における寄与分の価額の割合としては大きな影響を与えるものとはいえないなどとした。
遺産分割 特別受益持ち戻し免除同族会社

判例No. 1024

東京家庭裁判所 平成17年(家)第4989号、平成20年(家)第299号、平成20年(家)第300号 遺産分割申立事件、寄与分を定める処分申立事件

事件番号東京家庭裁判所審判/平成17年(家)第4989号、平成20年(家)第299号、平成20年(家)第300号
判決日付平成21年1月30日
判示事項

遺産総額(約2億6,700万円)及び被相続人の収入状況からすると、被相続人から相続人に対する継続的な送金のうち、一月に10万円を超える送金は生計資本としての贈与であると認められるが、これに満たないその余の送金は親族間の扶養的金銭援助にとどまり生計資本としての贈与とは認められないとされた事例。


被相続人が、相続人の子を3歳から高校卒業までの間の養育し、その費用を負担したことは、相続人自身に対する生計資本としての贈与とは直ちにいえないし、相続人の生計維持に貢献した分があったとしても、孫の養育費用について相続人の特別受益として考慮する意思は被相続人になかったと推認されるので、黙示的な特別受益の持戻し免除の意思表示があったものというべきとされた事例。


被相続人が経営する会社から支払われた給与について、仮に相続人に稼働実態がなかったとしても、会社からの贈与であって被相続人からの贈与とはいえないとされた事例。


遺産分割 錯誤遺産分割協議の無効

判例No. 1069

東京地方裁判所 平成26年(ワ)20311号 遺産分割協議不存在確認等請求事件

事件番号東京地方裁判所判決/平成26年(ワ)20311号
判決日付平成28年9月8日
判示事項相続人の一人が他の相続人に対し遺産分割協議の不存在を主張し、予備的に同協議の錯誤無効を主張した事案である。原告は、遺産分割協議の不存在ないし錯誤無効の理由として、
(1)遺産分割協議書の内容の協議が行われたことはないこと、
(2)署名押印が必要な金融機関への提出書面と共に遺産分割協議書を渡され、気が付かないうちに遺産分割協議書に署名押印をしてしまったことを主張した。

これに対し、本判決は、原告の供述は、自ら署名・押印を行ったか否か等の重要な点で変遷しており信用できないと述べた上、原告が他の相続人と同様、遺産分割協議書に自ら署名・押印した事実が認められる以上、遺産分割協議書は真正に成立したものと推定され、これを覆すに足る証拠がないとして、遺産分割協議の成立を認めた。

また、原告が、遺産分割協議書の作成に先立って行われた協議に毎回同席し、その経緯を見ていたこと、協議段階において暫定的な分割案を示した書面を受け取っていたこと等を認定し、原告が遺産分割協議書の内容を理解した上で同協議書に署名押印したことが推認できるとして、原告の錯誤無効の主張も認めなかった。
遺産分割 遺産の範囲公正証書遺言相続させる遺言

判例No. 1032

東京高等裁判所 平成21年(ラ)第985号 遺産分割審判等に対する抗告事件

事件番号東京高等裁判所決定/平成21年(ラ)第985号
判決日付平成21年12月18日
判示事項

特定の相続人に不動産を相続させる旨の遺言がある場合、当該相続人は相続開始時に当該不動産の所有権を何らの行為を要しないで確定的に取得したものであるから、当該相続人が遺言の利益を放棄する旨の陳述を行ったとしても、当該相続人が、遺言が無効であることを主張しておらず、その他、相続財産を遺産分割の対象とみるべき特段の事情のない限り、当該財産が被相続人の遺産として遺産分割の対象となる性質のものになるとはいえないと判示した事例。