東京地方裁判所 平成26年(ワ)20311号 遺産分割協議不存在確認等請求事件

東京地方裁判所 平成26年(ワ)20311号 遺産分割協議不存在確認等請求事件

遺産分割 錯誤遺産分割協議の無効

判例No. 1069

東京地方裁判所 平成26年(ワ)20311号 遺産分割協議不存在確認等請求事件

事件番号 東京地方裁判所判決/平成26年(ワ)20311号
判決日付 平成28年9月8日
判示事項 相続人の一人が他の相続人に対し遺産分割協議の不存在を主張し、予備的に同協議の錯誤無効を主張した事案である。原告は、遺産分割協議の不存在ないし錯誤無効の理由として、
(1)遺産分割協議書の内容の協議が行われたことはないこと、
(2)署名押印が必要な金融機関への提出書面と共に遺産分割協議書を渡され、気が付かないうちに遺産分割協議書に署名押印をしてしまったことを主張した。

これに対し、本判決は、原告の供述は、自ら署名・押印を行ったか否か等の重要な点で変遷しており信用できないと述べた上、原告が他の相続人と同様、遺産分割協議書に自ら署名・押印した事実が認められる以上、遺産分割協議書は真正に成立したものと推定され、これを覆すに足る証拠がないとして、遺産分割協議の成立を認めた。

また、原告が、遺産分割協議書の作成に先立って行われた協議に毎回同席し、その経緯を見ていたこと、協議段階において暫定的な分割案を示した書面を受け取っていたこと等を認定し、原告が遺産分割協議書の内容を理解した上で同協議書に署名押印したことが推認できるとして、原告の錯誤無効の主張も認めなかった。